Love Short Story's

・恋多き少女は何れ純愛を知るだろう

「はー、また別れちゃった。」


そんな事を呟くのは友達の佳奈美。
その言葉は彼女の口癖の様なもので1ヵ月に3回は言っている。付き合ったり、別れたりの繰り返しなのだそうだ。


「今度は何で別れたの?」


そう質問してみると佳奈美はいつもと同じ様に「なんか私には合わなかったみたい。」と答えた。


「そっか、今度はもっと続くと良いね。」

「うん!今度こそ王子様見つけるんだから!」


さっきまで暗い表情を浮かべていた佳奈美はいつしか次の恋に向けて笑顔になっていた。これが佳奈美の良い所・・・だろうか。
恋に無縁の私にとっては佳奈美を見ていると何だか楽しくなってしまう。


「じゃあ、私ちょっとトイレ行ってくるね。」

「うん。」


教室から出て行った佳奈美。と同時に隣にいた恭介がポンポンと肩を叩いて来た。


「ん、何?」

「あのさー、ちょっと・・・。」


恭介は何か言いたげに頭をポリポリ恥ずかしそうにかいている。これは、きっと佳奈美の事だろう。


「佳奈美ってさ、また別れたの?」

「うん、らしいよ。恭介にもチャンスできたね。」


そう茶化してみると真っ赤に頬を染め「テメッ、佳奈美には言うなよ!」なんて焦っていた。やっぱり恋をしている少年少女は輝いている。


「佳奈美に告白しないの?」

「・・・できるわけねーだろ。」


そう答える理由はわかっている。
それは恭介が佳奈美のタイプではない事だからだ。佳奈美のタイプの男の子は世に言うチャラチャラした男の子だ。それは誰しもがわかっている事なのだ。

その点、恭介は髪は少し茶色だがいたってごく普通の男の子だ。佳奈美が少し前に「恭介は私のタイプじゃない。」と言っていたのを覚えている。


「まぁ、がんばりなよ。」


なんて恭介に応援メッセージを送るけれど、恭介は不機嫌そうな顔で「ん。」と言うだけだった。
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