Love Short Story's

・泣きたい夜には

夜、頭に浮かぶのはヒロキの笑顔。
寝ようと思い何度も目をつむるが頭の中ではヒロキの笑顔が浮かんでくる。

ベッドから起き上がり机に置いてある写真立てに目を移す。
2人で撮った写真は私の宝物だ。

いわゆる私とヒロキは遠距離恋愛というものである。
こうして寂しい気持になると私はヒロキに電話をする。声が聞きたいからだ。

~~♪

携帯を手に取って通話ボタンを押した。


『もしもし?』


何回かのコールの後、電話越しから聞こえるヒロキの声。思ったよりも早く電話に出たヒロキに嬉しくなる。


「ヒロキ?ごめんね、イキナリ電話しちゃって。」

『ううん。俺も電話しようと思ってたから丁度、良かった。」

「そっか。ヒロキ・・・次は、いつ会える?」

『今月中にはサナエの家に旅行するつもり。』


それって、お泊まりの事かな?と小さな期待を胸に抱く。
ヒロキが泊まる日は私にとって1番の幸せな日なのだ。
1日中ヒロキと一緒にいられる。1日中ヒロキと話しができる。


『それまで泣くなよ。サナエは泣き虫だからな!特に夜とかさ。泣いたりすんなよ。』


ヒロキは笑いながら、そして心配そうに電話越しから優しく言ってくれた。


「・・・泣かないよ!」


そう言ってみたものの、今でも目が潤んで声が震えている。
寂しい、辛い、苦しい。

だけどね、こうしてヒロキに電話をすると落ち着くんだ。
今までの寂しさなどが一気に吹き飛ぶんだ。

そしてどうしても涙を耐えきれなくなって泣きたい夜には、こうやってヒロキに電話するからね。

その時は、たくさんの愛の言葉を聞かせてほしいの。


end
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