Love Short Story's
そしてトイレから帰って来た佳奈美は笑顔でクルクルの髪を手に絡めながら「今日ねカラオケ行く事になった!」と、はしゃいでいた。
そんな無邪気な佳奈美を見て頬を染める恭介が横目に見えた。


「はぁ。」

「カラオケはどうしたの?」


帰り道、肩を落としている佳奈美に尋ねてみる。この様子ではカラオケは中止になったのだろう。


「今日は時間が合わないから中止になったの。」

「そっか。残念だったね。」


佳奈美は溜息をつきながらも、どこか楽しげな様子をしていた。そんな佳奈美に疑問を感じながらも、話を続けた。


「でね、元カレがさぁ・・・。」
佳奈美の元カレの話を聞きながらも私は恭介の話題に話を持っていく様にした。


「佳奈美、恭介って良い奴だよね?もう恭介を好きになれば良いんじゃない?」

「なっ・・・。何言ってんの!バカッ!」


あれ、何だろうこの過剰な反応は。
もしかして佳奈美って・・・。

「佳奈美、もしかして恭介の事・・・。」

「ち、違うから!てか、もう本当に違うから!」

「否定しなくていいよ。好きなんでしょう?」

「・・・う、うん。まぁーね。」


可愛い。
この時の佳奈美は本当に恋をしている乙女の様に見えた。


「じゃあ、何でいろんな男の子と付き合ってたの?」

「だってさー、恭介って全然私に興味なさそうなんだもん!彼氏でも作ったら少しは興味湧いてくるかなって思ってたの。」


佳奈美ってば本当に可愛い。
そんな中学生な事をするなんて佳奈美らしいっていえば、佳奈美らしいけど。


「告白・・・したら良いんじゃない?」

「いつか、いつかね!てか、この話は絶対内緒だからね!」


恋多き少女はこうして純愛を知る事になるだろう。
明日にはきっと2人は幸せなごく普通のカップルになっているはず。

私も恋してみようかな。


end
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