悪魔の口付け


「これ、君のだよね?」


彼が持っているのは、たしかに私が落としたお金。



「あー…ありがとうございます。」


あれ…?



この人の目…。



「俺の顔になんかついてる?」


「ぃ、いえ!すいません!!目が…。」


「あぁ、俺ハーフなんだ。」


「あぁそれで…。」



でも何でだろう。

この胸騒ぎ。



彼は金色の目をしていた。




「永瀬くーん?」


「あっごめん、今行く!」



後ろから、女子の先輩方が彼を呼んでいる。


そうかこの人が。

なるほど、人気がある理由がなんとなくわかる。



「じゃあね、初音♪」


「あっはい。…ってえ?」


何で名前…。しかも呼び捨てだし。


ちょんちょん


彼は私の胸元を指差した。


あぁ名札。



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