桜咲くこの並木道で
なぜ足が止まったのか、

なぜあの光景が浮かんだのか、


ちゃんと理由はあった。


ここは、今朝あの人が立っていた場所だ。



はしゃぎたい気持ちを抑えて、

目を閉じて静かに深呼吸。


ゆっくりと目を開けながら、

あたしは幸せな気分に浸っていた。



あいかわらずタイミングよく携帯がなった。


電話だ。

しかも親からの。


あたしはあわてて電話を取った。



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