桜咲くこの並木道で
「もしもし?」


言うと同時に走り出していた。



電話に適当に答えながら、

桜の下を走った。


電話が終わったそのとき、

ちょうど並木道を出た。


あたしは思いっきり振り返った。

そして決意した。



明日は、今朝より二分早く家を出よう。


再び幸せな気持ちになったあたしは、

鬼のいる家へと笑顔でダッシュした。



今更ながら、

周りに人がいなくてよかったと思う。


その夜、

あたしはいつもより五分早く目覚ましをセットしてから眠った。



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