桜咲くこの並木道で
並木道の入り口、

ここでストップ。




大きな深呼吸をひとつして、

上がった気持ちを落ち着かせる。


どきどきも、

わくわくも止まらない。


笑顔はあふれ出すばかりだった。



あたしは強くかばんを持ち直して、

桜の下へと踏み出した。


足が急ぐのをこらえる。




早く着きすぎてもだめだから。


昨日と同じ速さを心がける。



あたしは、

まっすぐ先を見て歩いた。




もしあの人を見つけたら、

走り出したいと思った。







それでも、

いくら歩いても見えてこない。




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