桜咲くこの並木道で
あたしはやっと並木道を出た。


右へ思い切り振り向く。



彼の姿はない。



そこには、ゆるい傾斜に住宅地が広がっていた。


あたしは駅へ入るのをためらった。



曲がりたかった。



タイミングよく鳴った携帯で、

あたしは我に返った。


友達からの、たわいもないメール。


あたしは携帯を閉じる。

・・・あわててもう一度携帯を開いた。


すでに八時半。

次の電車に乗れなければ遅刻だ。



あたしはもう一度だけ右を見ると、

急いで駅に入った。



< 7 / 33 >

この作品をシェア

pagetop