ダンデライオン
そして、試写会当日。
ドキドキして、昨日の夜はなかなか寝付けなかった。生の悠斗くんを見るのは今日が初めてだから。
はやる心を抑えながら、待ち合わせ場所に向かう。
ショーウインドーを鏡代わりにして最終チェック。
沢山いる観客の中からあたしを見付けてくれる確率は低いけど、万が一、見てくれたとき少しでも「可愛いな」って思ってもらいたいから。
「真澄ーっ!」
待ち合わせ場所に着くともう既に咲智はいた。あたしを見付けるやいなや大きく手を振る。
「咲智、おはよう!」
他愛のない話で盛り上がりながら、会場に向かう。
一歩、また一歩と近付く度にドキドキが加速する。