ダンデライオン

会場に着くと、もう長蛇の列が出来ていた。

幸運なことにこの試写会は自由席じゃなくて指定席。自由席だったら、きっと後ろの方だ。


咲智は強運の持ち主で、席は最前列の真ん中だった。

「やばい…心臓に悪い〜。」

そう胸に手を添えて、顔を真っ赤にして咲智は呟いた。

ここに、憧れの悠斗くんがいるー…。そう思うだけで頬が緩む。

「もうすぐ、悠斗くんに会えるんだね。」

そう咲智に言うとうんっと頷いて、あたしの腕に絡み付いた。

「…映画、泣くかも。」

そう咲智は呟く。

「あたしもっ!」

CMで観たり、原作の小説を読む限り、号泣必至な予感。
< 11 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop