ダンデライオン
会場に着くと、もう長蛇の列が出来ていた。
幸運なことにこの試写会は自由席じゃなくて指定席。自由席だったら、きっと後ろの方だ。
咲智は強運の持ち主で、席は最前列の真ん中だった。
「やばい…心臓に悪い〜。」
そう胸に手を添えて、顔を真っ赤にして咲智は呟いた。
ここに、憧れの悠斗くんがいるー…。そう思うだけで頬が緩む。
「もうすぐ、悠斗くんに会えるんだね。」
そう咲智に言うとうんっと頷いて、あたしの腕に絡み付いた。
「…映画、泣くかも。」
そう咲智は呟く。
「あたしもっ!」
CMで観たり、原作の小説を読む限り、号泣必至な予感。