ダンデライオン
降りるときは悠斗くんが先に降りて、あたしの手を取ってくれた。大きい悠斗くんの手を握って、降りる。

「ね、晩御飯なにが食べたい?」

「えっと…パスタが食べたいです。」

「わかった。じゃ、イタリアンだね。好きなレストランがあって…そこのパスタは絶品だよ。」

にっこりと屈託のない笑顔を向けられて、あたしも笑顔になった。

「ね、あれ…眞壁悠斗?」

「え?どこ?こんな場所に?」

「ほらあそこ!女と手繋いでる〜」

「え?だって矢部マコと別れたばっかじゃない!」

「あの眞壁悠斗だよ?もう新しい女出来たに決まってる〜」

そんな会話がさっきから聞こえてた。それなのに悠斗くんは顔色ひとつ変えなかった。あたしは彼女じゃない、誤解されてもいいの?あたしが彼女だって、誤解されていいの?

悠斗くんがわからない。
心の中を知りたい。取り繕った上辺じゃなくて、気取らない中身を、あたしに見せてほしい。
―あたしって重いのかな。
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