ダンデライオン
悠斗くんのオススメのレストランは高そうなところだった。グランドピアノ、バイオリンの生演奏。それを聴きながら美味しい料理を食べる。
まるでドラマみたいだ。

食事の間、悠斗くんはいつもと変わらない綺麗な笑顔だった。その内側に、どれくらい深い傷があるんだろう。

あたしはなにも出来ない。けど、もしなにか悠斗くんの為に出来ることがあったら全力で頑張る。

「どう?気に入った?」

「はい!とっても美味しいです。」

「よかった。また誘っていいかな?」

「喜んで!」

「ありがとう。」

にっこり笑って、悠斗くんは慣れた手つきで料理を口にする。

それがこの場限りの嘘っぱちでもいい。その言葉だけで幸せ。ほんとだよ。
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