ダンデライオン
心臓が煩い。期待が膨らむ。ね、あたしをからかってるの?

「ごちそうさまでした!」

少し冷めたグラタンを掻き込んで、階段を駆け上がる。

勉強に集中して、他のこと考えられないようにしよう。

部屋に入るとベッドの上の携帯のランプが点滅していた。
携帯を確認するとメールが2件。咲智と悠斗くんからだった。

咲智からは"悠斗くんがー(´;ω;`)"

悠斗くんは"驚かしてごめんね、でも俺嘘はひとつも言ってないよ"

咲智には言った方がいいのかな。黙ってるのは気が引ける。ずっとこの先、咲智を騙すのはやだ。
きっと、わかってくれる。

『咲智…あの女の人、あたしなの。黙っててごめんなさい。』

ふう、と溜め息をひとつして送信した。

悠斗くんには、『あたしは大丈夫ですよ。悠斗くん、あたしのこと弁明してください。』

「送信、と。」

あたしはただのファン。
そうだよ。悠斗くんはだから"特別"って言ったんだよ。悠斗くんはファンが大切だっていつも言ってるもん。
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