ダンデライオン
嬉しかった。
そんな言葉じゃ足りないくらい、涙が出る程嬉しくて、幸せで…ただ、頬に伝うぬるいものも愛しいと思えた。

「多分、あの試写会で真澄ちゃんを見付けたあの日から、俺は…真澄ちゃんに恋してた。」

あの時、咲智が試写会のチケットを取ってくれたから。

あの日、席が最前列だったから。

あの日、奈穂美ちゃんと街でぶつかったから。

奈穂美ちゃんが、悠斗くんの大親友だから。

偶然が重なって、悠斗くんと出逢えた。

神様にいくら感謝しても足りない。
あたしはきっと世界一幸せだと思うよ。

「真澄ちゃん、返事聞かせてくれる?」

「あたしも…悠斗くんが好きです。」

悠斗くんはよかった、と安堵したように笑った。
ね、あたし…悠斗くんが芸能人じゃなくて一般人でも好きになったと思う。
顔、じゃなくて…悠斗くんが全く違う容姿だったとしても、変わらない。
あたしね、悠斗くんの優しさが好き。いつも相手を気遣うそんなところが好きなんです。

口にしては言えない。嘘っぽくなるから。だから、言葉にはしない。でも、伝わってほしい。
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