ダンデライオン
エンドロールが流れる頃には既に涙に強いと謳ったウォータープルーフのマスカラが落ちる程に、泣いてる自分がいた。
観客の啜り泣く声が会場を包んでいた。
こんなに泣いたのは久しぶりで、咲智と顔を見合って笑った。
しばらく余韻に浸っていると、出演者や監督が再び出てきた。
啜り泣く声は一瞬で黄色い声へ変貌を遂げる。
「今日はどうもありがとうございました。是非、家族やお友達にこの映画を勧めてください!」
屈託のない笑顔で悠斗くんはそう言って、頭を下げた。
キラキラ輝く、彼が眩しい。
そんな夢のような時間は刹那で、一気に現実へと引き戻された。