ダンデライオン
その日の放課後、阿由葉は阿部を呼び出した。
あたしと咲智は、教室で阿由葉が戻ってくるのを待った。その間、ふたりには会話はなかった。
―阿由葉のことが心配だったから。

何分掛かったかな、ゆっくりと扉が開いた。中に入ったのは、阿由葉。
今にも泣き出しそうなのに、阿由葉はあたしと咲智におちゃらけて見せた。

「田辺阿由葉、玉砕です!」

「阿由葉…」

あたしは阿由葉を優しく、包み込んだ。
泣いていいよ、思い切り泣いて、泣き疲れて寝ちゃうくらい、泣いていいんだよ。

「真、澄っ…ひっ、く…」

震える身体を摩る、それがあたしに出来る精一杯。

「あ、たし…っ、頑張ったよっ…!」

「うん…阿由葉は凄いよ。」

答えがNOだって知ってる上での告白。勝算は0。それでも阿由葉は想いを伝えた。
それって、ものすごい勇気が必要のはず。
< 150 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop