ダンデライオン
阿由葉は、暫くあたしの胸で泣きじゃくった。そしてゆっくり、言葉を紡いだ。

「阿部ね…言ったんだ。"田辺とはずっと友達でいたい。俺にはもったいないよ。"って。」

「そっか。」

「でもよかったよ?あたしのこと好きじゃないのに付き合ってくれても虚しいよ。きっぱり断ってもらえてよかった。」

えへへと笑ってみせた。
その笑顔に嘘はなかった。
誰だって、気持ちがないのに付き合うなんて嫌だ。
やっぱり相思相愛のカップルじゃないと意味を成さない。

「あんた頑張ったよ!」

咲智は後ろから阿由葉をぎゅっと抱きしめて、そう言った。咲智の瞳には涙が少し滲んでた。
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