ダンデライオン
そして、放課後になり、咲智が申し訳なさそうに口を開いた。

「…あのさ、真澄…。悠斗くんからおめでとうって言われた?」

「―ううん。忙しい人だから。だから、平気。」

我が儘言って嫌われたくないから。
だから、誕生日を祝ってもらえなくていい。

「でも、」

「わかってるから。忙しいって。この仕事してなかったら、あたしと悠斗は逢えなかった。だって7つ離れてるんだよ?」

「でも、真澄…」

咲智に微笑みを向けてから視線を前に移した。
足が止まった。

見慣れた車が校門の前に停まってて、ボンネットに腰掛ける人。

信じられなくて、首を横に振った。
あたしは幻覚を見てるの?

「真澄、?」

「どうして…」
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