ダンデライオン
「あたし、帰るから…」

「真澄、一緒にいてほしい。俺、なにしでかすかわからいんだ。」

そう言う悠斗は、儚げで傍にいないとって思わずにはいられなかった。

「…うん。」

女の人に連れられてきたのは大学病院の個室。

「あなた、悠斗くんがいらしたわよ。」

ベッドにいる、この人が…悠斗のお父さん。
痩せこけているけど、悠斗に少し似てる。目鼻立ちが、そっくり。

「悠斗、久しぶりだな。」

「…」

「そちらは、彼女か?」

どうも、とあたしに軽く会釈して微笑んだ。その笑顔は、悠斗に似てて、やっぱり親子なんだと思った。

「…こんにちは。」

「こんにちは。悠斗、いい子そうだな。」

「ああ。」
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