ダンデライオン
日が傾き始め、あたし達は病室を後にすることにした。
「悠斗、来てくれてありがとう。」
「…ああ。」
「下まで送るわ。」
「…はい。」
槙子さんは少しなにか言いたそうだった。それを察した悠斗はただ頷いた。
病室を出て、槙子さんは笑顔を取り繕って口を開いた。
「ここ、悠斗くん覚えてる?」
「…はい。母さんが死んだ病院です。」
この場所が…。
「あの人、最初は個人のクリニックに通ってたんだけど体調壊してどこか大きな病院に紹介状書いてもらうことになってね…、どうしてもここがいい。そう言ったの。
昭人さんは、お母さんのことを誰よりも愛してるのよ。私といても、私っていうレンズを通して暁美さんっていう被写体を見てた。私を被写体にしてくれたことは一度だってない。出会って20年以上、なのに。」
「悠斗、来てくれてありがとう。」
「…ああ。」
「下まで送るわ。」
「…はい。」
槙子さんは少しなにか言いたそうだった。それを察した悠斗はただ頷いた。
病室を出て、槙子さんは笑顔を取り繕って口を開いた。
「ここ、悠斗くん覚えてる?」
「…はい。母さんが死んだ病院です。」
この場所が…。
「あの人、最初は個人のクリニックに通ってたんだけど体調壊してどこか大きな病院に紹介状書いてもらうことになってね…、どうしてもここがいい。そう言ったの。
昭人さんは、お母さんのことを誰よりも愛してるのよ。私といても、私っていうレンズを通して暁美さんっていう被写体を見てた。私を被写体にしてくれたことは一度だってない。出会って20年以上、なのに。」