ダンデライオン
「悠斗…、」
あたしは迷ったけどその後ろ姿を追い掛けることにした。
悠斗はあたしに気付かず、ゆっくりお父さんの病室に入った。
「…父さん。」
盗み聞きなんて悪趣味だってわかってる。でも、気になる。ねえ悠斗…、これから何を告げるの?
「長生きしろよ…母さんの分まで。」
ぶっきらぼうだけど優しい声に、涙がじわっと溢れた。
悠斗がお父さんを凄く憎んでるってわかってるから、そんな悠斗がお父さんにその言葉を口にするなんて想像すら出来なかったから。
「俺、許せないよ。母さんがあんなに辛いとき、父さんに逢いたいって思ってるときに、他の女のところにいたなんて…俺、きっと一生…理解出来ないし、したいとも思わないし…恨むと思う。
それでも父さんは、母さんを愛してたんだろ?」
「ああ…今でも、槙子には申し訳ないが…俺は暁美だけを愛してる。勿論、お前もな。」
あたしは迷ったけどその後ろ姿を追い掛けることにした。
悠斗はあたしに気付かず、ゆっくりお父さんの病室に入った。
「…父さん。」
盗み聞きなんて悪趣味だってわかってる。でも、気になる。ねえ悠斗…、これから何を告げるの?
「長生きしろよ…母さんの分まで。」
ぶっきらぼうだけど優しい声に、涙がじわっと溢れた。
悠斗がお父さんを凄く憎んでるってわかってるから、そんな悠斗がお父さんにその言葉を口にするなんて想像すら出来なかったから。
「俺、許せないよ。母さんがあんなに辛いとき、父さんに逢いたいって思ってるときに、他の女のところにいたなんて…俺、きっと一生…理解出来ないし、したいとも思わないし…恨むと思う。
それでも父さんは、母さんを愛してたんだろ?」
「ああ…今でも、槙子には申し訳ないが…俺は暁美だけを愛してる。勿論、お前もな。」