ダンデライオン

そしてその晩。
派手すぎず、地味すぎないワンピースをチョイスした。

髪をセットしている手を止めた。

「……キメすぎてない?」

鏡に映る自分を見て苦笑い。どこのキャバ嬢よ、と心の中で突っ込んだ。

髪は緩く巻くだけにして、メイクもいつもと変わらないナチュラル。

「ねーちゃんどこ行くんだよ。」

今年高校受験を控える弟が冷めた目であたしを見る。

「ディナー!」

「は〜?ずりーよ、連れてけ!」

「むーり!」

「ケチ!ばばあっ!」

「ばばあっ?うっせ、ガキっ!」

そんな下らない口喧嘩をしていたらお母さんの大きな声が鼓膜を揺らした。


「うるさ〜い!あんた達、近所迷惑になるでしょう!?…真澄、くれぐれも失礼のないように!」

「分かってるよ、行ってきます。」
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