ダンデライオン
電車は今日も満員。ぎゅうぎゅうのすし詰め状態。
…痴漢に遭ったらどうしよう。
ってあたし狙う人なんかいないか!
あはは…
下らないことを考えてるあたしの肩に誰かの手が乗った。
横を向くと阿部。
…ん?さっきいた?
これだけの人がいるから気付かないのはしょうがないか。
「おはよう。」
「おっす。」
「今日も混んでるね。」
「平日の朝は混むだろ。」
そう淡々とした会話。
でも妙に落ち着くんだよね。阿部と話すの。
「…あいつの映画観たんだろ?」
「うん。」
悠斗くんのことあいつ呼ばわりかい!
「…そっか。」
「いい映画だったよ?阿部も観てみなよ?」
「やだね」
「なんで」
「あいつ嫌い。」
うーわ。ファンの前でそれ言うか!
「…あっそ。」
ここでムキになったらただの痛い子だ。抑えろ、真澄!