ダンデライオン

電車は今日も満員。ぎゅうぎゅうのすし詰め状態。
…痴漢に遭ったらどうしよう。

ってあたし狙う人なんかいないか!
あはは…

下らないことを考えてるあたしの肩に誰かの手が乗った。

横を向くと阿部。
…ん?さっきいた?

これだけの人がいるから気付かないのはしょうがないか。

「おはよう。」

「おっす。」

「今日も混んでるね。」

「平日の朝は混むだろ。」

そう淡々とした会話。
でも妙に落ち着くんだよね。阿部と話すの。

「…あいつの映画観たんだろ?」

「うん。」

悠斗くんのことあいつ呼ばわりかい!

「…そっか。」

「いい映画だったよ?阿部も観てみなよ?」

「やだね」

「なんで」

「あいつ嫌い。」

うーわ。ファンの前でそれ言うか!

「…あっそ。」

ここでムキになったらただの痛い子だ。抑えろ、真澄!
< 30 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop