ダンデライオン
最寄り駅に到着し、窮屈な満員電車から脱出するとホームには、あたし達の通う高校の制服を身に纏う生徒でいっぱいだった。
「阿由葉(アユハ)ーっ!」
淡い栗色した艶やかな長い髪をした後ろ姿に、声を掛ける。
顔を見なくても、雰囲気で彼女だと分かった。
振り返るとやっぱり、阿由葉。
「真澄ーっ!おはよっ!」
満面の笑みを浮かばして挨拶する阿由葉。あたしの後ろにいる阿部に気付いて、あからさまに嫌な顔をする。
「なんだよ、田辺(タナベ)。」
「真澄に近付くな!真澄が汚れる!」
そう吐き捨て、あたしの腕を掴んで早足で歩き始めた。