ダンデライオン
「なにか聴く?」
「あ、はい。悠斗くんのオススメを。」
そう言うと悠斗くんは小さく頷いて、細くて長い綺麗な人差し指でカーステレオの再生ボタンを押す。
流れてきたのは洋楽。
なんて言ってるか分からないけど、どこか切なくなる。そんな雰囲気のバラード。
「バラード、好きなんですか?」
「うん好きだよ。でもロックとかなんでも聴くかな。でもこれは、思い出の曲だから、特別。」
そう優しい笑みを浮かべてる。その思い出は、素敵なモノだと物語ってる。
でも、どんな思い出なのか聞けない。
聞けない雰囲気が、した。
「…そうなんですか。」