ダンデライオン
「……悪く言わないでよ。」
「は?」
「みんな、それぞれ都合があるからこんな時間でしか会えなくて、話盛り上がったから時間経つの忘れて…」
そんな子供じみた言い訳をした。
奈穂美ちゃん達を悪く言ってほしくなかった。たとえ、実の弟でも。
「はあ…。姉ちゃん分かってる?」
溜め息をひとつ吐いて、雅巳はあたしの目をじっと見た。
「自分の置かれた状況、理解してんの?姉ちゃんは受験生だよ?
大学行くんだろ?そんな遊びほうけて受かると思ってるの?」
「…分かってるよ。」
雅巳に言われなくても、そんなこと理解してる。
「姉ちゃん、母さんも父さんも心配してたんだからな。いくら前以て言ってても、程度ってあるだろ。そんなことも分からないのかよ、高校生にもなって。」
「…ごめん。」
雅巳は大人なんだ。どっちが年上だかわかんないくらい。…ううん、あたしが子供なんだ。年相応の考えを持てない、あたしが子供。
「…別に、責めてるわけじゃねえけど…。ただ心配してんだよ、俺も。」
「雅巳…。」
「姉ちゃんが堕落するんじゃないか。」
「……ははは。」
あたしはそんな心ない笑い声を出した。