ダンデライオン

リビングのソファーの前に正座させられた。

そこではたまたま、雅巳がニュースを観ていた。
そしてその視線をあたしに移す。

冷ややかな目であたしを見る実弟、雅巳15歳。

「雅巳、テレビ消しなさい。」

「はい。」

テレビが消え、リビングは静まり返る。

「真澄。昨日、確かに前以て帰り遅くなるって聞きました。あなたはもう今年18で、もう親の指図はいらない歳よ。」

そう厳しい口調で淡々と諭すお母さん。
あたしはお母さんを見ることが出来なくて、ただじっとカーペットを見ていた。

「…でもね、お母さんね、本当に心配なのよ?最近、この辺りに通り魔出たり、ストーカー被害が出たりで物騒だから…。
真澄が巻き込まれたらどうしようって不安だったのよ?」

そんな優しい穏やかな声。
その声から愛情が伝わった。ああ、愛されてるって。


「ごめんなさい。」

そうお母さんの目を見て、謝った。

「いいの、分かってくれたら。」

そう微笑んで、あたしの身体を包んだ。
お母さんの匂い。洗剤とシャンプーの混ざった匂い。この匂いを嗅ぐと、落ち着くんだ。
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