ダンデライオン
ピンポーンとチャイムが鳴った。
こんな朝早くから誰だろう?
「雅巳、出て。」
あたしを抱きしめたまま、お母さんは雅巳を顎で使った。
「はーい。」
そう面倒臭さそうに返事をして立ち上がり、玄関に向かう弟。
「…あー!」
いきなり、そんな雅巳の大きな声が玄関から聞こえた。
って。お客さんに失礼でしょ。「あー!」って…。
「お、おい!母ちゃん!眞壁悠斗!」
「あら、どうしてウチに?」
「え!」
玄関を覗くとそこにはTシャツに細身のジーンズというラフな格好をした悠斗くんが立っていた。
「取り敢えず、上がってください。散らかってますが…」
そう雅巳はスリッパを用意し、悠斗くんを中に入るように促した。
「じゃあ、お言葉に甘えて…。」
ドキドキ、心臓が鳴り響く。
どうして、ここに悠斗くんがいるの?