ダンデライオン

リビングに通し、あたしは悠斗くんに麦茶を差し出した。

「あ、お構いなく…。
突然、こんな朝早くにお尋ねして申し訳ありません。」

そう言って、頭を下げた。


「いえ、いいんですよ。家族全員起きてましたので、お気になさらないでください。」

お母さん、目がハート。
…触れないで置こう。

「お父様、はどちらに?」

「主人はジョギングに出ております。日課なんですよ。」

お母さんは上品な言葉遣いで悠斗くんと会話をしていた。

「…そうですか。いつ頃、お戻りになりますか?」

「あと10分くらいかと思いますけど、主人に用がおありなんですか?」

そうお母さんに聞かれた悠斗くんは少し首を捻って、それから頷いた。

「お母様にも、お話したいことがございまして。」
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