ダンデライオン
ふう、と溜め息をひとつ吐いて階段を上る。
「あ、真澄!もうすぐで朝ご飯の支度終わるから雅巳呼んできてちょうだいっ!」
リビングからひょっこり顔を出し、お母さんがあたしに向かい、そう言う。
「はーい。」
こんがり焼けたトーストの匂い。ソーセージの匂いもする。
雅巳の部屋の前で深呼吸。そしてとんとんとノックした。
「雅巳、ご飯だって。」
そう言うと、不機嫌そうな顔をして雅巳が出てきた。
「雅巳…」
ちらりとあたしを一瞬見て、階段を下る我が弟。
え、怒ってる?