ダンデライオン

こんがり焼いたトーストに、マーマレードのジャムを塗り、むくれた顔のまま頬張る雅巳。

「雅巳、どうしたんだ?」


お父さんの問いに一瞬だけ眉間にシワを寄せ、無言のまま再びトーストを食べる雅巳。

「雅巳。聞いてるのか?」


「…姉ちゃんがたぶらかされるんじゃないか心配なんだよ。」

そう言い、焦げ目が付いたソーセージにフォークを刺す。

「お前は、シスコンだなあ。」

クスクス笑ってお父さんはブラックコーヒーを啜る。


「…そんなんじゃねえよ。眞壁、女ころころ変わるから今度は姉ちゃんになんかするんじゃないかって。
姉ちゃんに飽きたらまた違う女に変えて、姉ちゃんが傷付くのが嫌だから。…だから心配なんだよ。」

そう少し頬を赤く染める雅巳が、愛しくてぎゅっと抱き寄せた。
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