ダンデライオン
この間試写会で見た、映画の予告が流れてお母さんはあたしに声を掛けた。

「ねえ、真澄。この映画、この前観たんでしょ?どうだった?」

「…よかったよ、すごく。」

「そう。そんなにいいならお母さんも、観ようかな。」

「…うん、観て損ないと思う。」

テレビに映る悠斗くんが、眩しくて、果てしなく遠く目に映って、あたしの胸が張り裂けそうになる。

なんでかな、芸能人はただの憧れなのに。偶像なのに、こんなにも辛い。

会いたい
そう思うのは、変に距離が少し縮まったせいで。
ただ、連絡先を知ってしまったから、それだけ。

なのに、なんで視界が歪むんだろう。目頭が熱いんだろう。

あたしは馬鹿、だ。
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