ダンデライオン
『では、最後に視聴者のみなさんに一言お願いします!じゃあまず、眞壁さん。』

『はい、この映画は命を題材にした映画なので重たいと思われる方もいらっしゃると思うんですが、それは決して避けては通れない永遠のテーマだと思います。
余命宣告を受けた主人公の空の生き様を見て、少しでも今生きてることはとても幸せなんだと思ってくださると嬉しいです。
僕たちキャスト、スタッフさんの想いが詰まった映画です!ぜひ映画館の大きなスクリーンで観てください。』

真剣な眼差しの悠斗くんがそこにいた。その瞳が昔から大好きだった。でも、今はその視線を独り占めしたいなんて欲が芽生えてしまった。

愛おしい、そう想ってしまう。愚かだとわかってる。でも、とめどなく溢れる気持ちを制御できない。

「立派ね、彼。」

「…そうだね。」

お母さんの小さな感嘆にあたしはそう返し、ポテトサラダを一口。お母さんの手作りのこれはいつも優しい味がする。―ううん、お母さんの手作り料理は全部優しい味がするの。料理には人柄が出るって本当だね。
お母さんは優しくて、しっかり者で、正義感が人一倍強い、自慢のお母さんなんだ。
今は専業主婦だけど、あたしが生まれてから育児に専念したいと言って天職だった検事を辞めた。
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