ダンデライオン
「姉ちゃん。」

優しい声で呼び掛ける雅巳。あたしは静かに横を見た。真っ直ぐな瞳に確かに捕らえられたあたし。

「姉ちゃんらしく、頑張れよ。」

「あたし、らしく?」

「いつもマイペースで、でもちゃんと進む。しかも往生際も悪い。俺、マイペースのくせに負けず嫌いな姉ちゃん、嫌いじゃねーよ。」

「…雅巳。」

少し悪口にも捉えれるその言葉。だけど素直じゃない雅巳が精一杯褒めてくれたとわかる。

ありがとう、あたしも素直じゃない雅巳、嫌いじゃないよ。

「もう少し、積極的になりなよ。」

見透かされてるであろう恋心に雅巳は背中を押してくれた。意地悪な笑顔じゃない、優しい笑顔で。
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