ダンデライオン
「そうよ、真澄。自分に素直になって何事も諦めちゃダメ!諦めたらなにもかも終わっちゃうの。」

「お母さん、」

「好きなんでしょ?眞壁さんのこと。」

びくっと身体が飛んだ。
まさか、お母さんも気付いていたなんて。

「あなたのこと何年見てたと思う?それに隠す必要なんてないのに、水臭いわよ?」

そんな戸惑いさえも感づいたお母さんは優しく撫でるように言った。

「お母さん、応援しかできないけどね。」

「反対、しないの?」

「当たり前でしょう!恋は当人の自由。他人がとやかく言うことじゃないの。それに恋はたくさん教えてくれるから。いい恋、してね。」

微笑んでお母さんはコーヒーを啜った。その表情は優しさで満ち溢れていた。
聖母マリアのような優しい微笑みだった。
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