ダンデライオン
突然の告白にお母さんは目を真ん丸にした。一度も口に出したことのない夢だったから、驚くのも仕方のないことなのかもしれない。

「わかってるよ、司法試験が難しいことも、新司法試験受けるためにはロースクールも通わないといけないことも…どんな険しい道でも、その道を進みたいの。」

思いの丈を伝えるとお母さんはうんうん、と頷いて優しくて本当に優しい笑顔を浮かべてあたしの手を握った。

「頑張りなさい。でも、頑張りすぎちゃダメよ?試験受かって、待ってるのは辛い仕事だけどきっと真澄ならやっていける。お母さんの自慢の娘なんだから。」

"自慢の娘"
あたしは、お母さんの自慢になれたの?あたし、まだなにもしてない。口先ばかりの、しょうがない娘なのにそう言ってくれるの?

あたしの視界はじんわりと霞んで、鼻の奥がツンとした。
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