ダンデライオン

縮まる距離

お母さんにチャンスは訪れると言われてから、一週間が経ったある日。

そんなこと言われてもなあ。って深い溜め息が漏れたその時だった。
携帯電話が明るい音楽と共にピンク色のランプが点滅した。

心臓が跳ねた。
だって、この歌は『あの人専用』だから。
一方通行の片想いを歌ったこの歌が、あたしにぴったりだったから。

『Hello!悠斗です。
なんと…蝉時雨が、今週の映画興行収入ランキングで一位取りました!やり〜(^o^)♪真澄ちゃんに早く報告したくてブログより先に送っちゃった★
勉強はかどってる?』

頬が緩んだ。
ブログより先に打ってくれるのが嬉しくて。わざわざ、あたしにメールしてくれるのが嬉しかった。

『こんにちは!おめでとうございます♪蝉時雨、本当に素敵な映画ですよね。何度も観たくなる作品で、あたし大好きなんです:)だからこっちまで嬉しくなっちゃいますね♪
勉強はまあまあです(笑)』
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