ダンデライオン
『テレビ…見た?』

「…いえ。でもお母さんが、」

『またか、って思ったろ?』

「そんなこと…」

『いつも女を取っ替え引っ替え…長く続いても、せいぜい3ヶ月。ドラマかよってよく言われる。』

胸が苦しい。
短い時間でも、悠斗くんはきっと彼女を真剣に想っていた。

あたしは?
その間いつも心のどこかで破局を祈ってた。最低だ。


『俺、向いてないかもな。…恋愛には。』

「そんなことないです。」

『ありがとう。ねえ、真澄ちゃん。来週の木曜日暇?』

「え?…はい、夏期講習もないんで暇です。」

『空けといて?』

「え?」

『俺の相手してよ。』


顔が熱くなるのを感じた。太陽の照り返し、なんかじゃない。
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