ダンデライオン
デート。そうだよね?

『約束。木曜日、オフなんだ。朝に迎えに行くから。』

またね、そう言って電話を切った。…泣きそうだ。

暇潰しでも代わりでもなんだって構わない。
あたしを選んでくれて、嬉しくて、本当に嬉しくて…涙腺が緩む。

「西條?」

振り向くと、阿部がいた。

「なに突っ立ってるんだよ?夏期講習だろ?」

「まだ時間あるし。」

「少し頭いいからって余裕だよな。」

「あんたは?」

「…バイト。」

そう言って阿部は天を仰いだ。

「あっちーな。」

「夏だし。」

「…お前な…」
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