マイ・ラブ
…香歩の先輩の中には、高校に行かない人もいた。
義務じゃないんだし、まだまだ遊びたい。
そう思っていたあたしに、お母さんは無理やり高校受験させた。

香歩にとって面倒ではあったけど、その時間が親子の関係を修復させてくれた。

隙間だらけだったあたしたち親子を。

お母さんはあたしを見つめ、あたしの隣に腰をおろした。

「香歩、あなたはまだ大人として社会に出れるような人間じゃないわ。
何もかも中途半端。あなたには学ぶべきことがあるの」
「…学ぶこと?」
首を傾げる香歩。
「あなた、やりたいことはあるの?」
「…ない」
自分の人生なんて真っ白だった。
残されたのは汚れた過去。
「大人はね、夢を追っていきてるのよ。香歩も高校で夢を見つけたら、きっと自立出来るわ。」
お母さんはそう言って、部屋から出ていった。

あたしはすぐに準備をする。
夢を探す準備を。

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