マイ・ラブ
電車には、同じ制服を着た男女がちらほら見えた。
その中でも、香歩は派手で目立っている。
やっぱ入学式ぐらい、みんな抑えてるよね…。
周りを見渡していると、ひとりの女の子と目が合った。
真っ黒のすっきりしたショートヘアに、整った制服。小柄で清潔感のある女の子だ。
…数秒間の沈黙が続いた。
女の子は、大きな瞳で、香歩に笑いかける。
…驚いた。
そして怖かったんだ。
中学のときが頭をよぎる。
…友だちなんかいなかった。
仲良くしていた人は、みんな離れていった。
誤解だったのに…。
【香歩、あんたに生きる資格、あるわけないよね?】
【死ねよ、早く】
止める人はいない。
誰も関わろうとしなかった。
【友だち】…?
その居心地の良さを、あたしは忘れている。
男と寝る事で埋めてきたつもりだったのに…全然埋まってなかった。
「ちょ…香歩?」
あたしは車両を移る。
女の子を横切った。
これが明日美との出逢い。
大好きだった明日美…。