リナリア

 思い出したら、尚更涙が溢れてきた。


 そして何故か怒りもふつふつと湧いてきて思わず、



「ちっくしょう、壮太君の隣にいた子、すんごい美人だったじゃないか!!!!!!」


「お、落ちつきなさいよ、佐智」


「あたしより、美人の方が良くなったんだ、あんにゃろう!!!」




 なんて、奈菜の制止する声も聞かずに叫んでしまった。



 そして店中から注目される。


 あたしはそのは恥ずかしさから逃れるため、そっと、アイスコーヒーのストローに口を付けた。





「ねぇ、佐智。あたし思ってたんだけど」


「ん?」


「佐智、平津君の事好きだったんじゃない?ちゃんと、恋人として」


「え?」




 奈菜の突然の言葉にあたしはただひたすらびっくりだ。



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