リナリア

「あたし、壮太君の周りにいる子じゃない」


「やだ。佐智、来るの遅い」


 まるで待ち合わせでもしていてあたしが待たせてしまったみたいな言い方をする壮太君に思わず「意味解らん!!!」って、大きな声を出してしまう。

 そんなあたしに壮太君は口元に人差し指を持って行き、「しーっ」って子供にするみたいにやっている。


 こ、こんにゃろう・・・



「佐智、ここにいなよ。ここ、佐智のお気に入りでしょ」



 そう言い、今度はあたしの膝を枕にしようとする壮太君。

 何を考えてるんだ、この男は。



「やだ、やめて。いいよ、壮太君がここ使うなら、あたし別の場所探すよ」



 なんだか自分でもビックリするぐらい、冷たい言い方をしてしまい、しまったと後悔する。

 けれど、壮太君の無神経さに腹が立ったのも事実で。


 別れてからの方が壮太君の事が気になるなんて、おかしな話だけど。


 それでも、気になるものは、気になる。



 壮太君の隣に毎日可愛い女の子がいるのを見て、本当に悲しかった。

 何より、ソレを見せつけるかのようにあたしの前を通り過ぎて行かれるのが辛かった。


 それなのに。


 なんであたしの膝を枕代わりにしようとするの?

 そんなん、今まで一緒にいた子に頼みなよ。



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