リナリア

「佐智、平津君と別れたの?」


 壮太君と別れた次の日、大学のテラスでお昼を食べていたら、高校からの友達、奈菜に声をかけられた。

 奈菜はあたしの向かいの椅子を引き、そこにどかっと荷物を置くと自身もどかっと座り、「理由は?」と聞いてきた。

 そう聞きながらも彼女はあたしではなくメニューを見ていたのだけれど。

 でも、それはいつもの事なので気にしない。



「ん〜・・・・・。もう、無理って言ってたな」

「それだけ?」

「いやぁ、あんま覚えてなくて。でも、いつもと同じような事言われたさ」



 実は覚えているのだけど、あたしの過去の恋愛を知る奈菜なら「いつもと同じ」と言えば通じるし、面倒だからそう言ってしまう。


 へらりと笑ってそう言ったあたしを見て、奈菜はため息をついた。
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