リナリア

  今度気持ちを伝えよう。

 そう思ったけど、一度思ってしまったら行動に移したくなってしまった。


  そんなあたしは、さっきからアパートの狭い部屋の中を、行ったりきたりしている。


 どどどど、どうしよう。

 急に元カノから電話なんて掛かってきても、出てくれないよね?

 あ、でも、今日殴っちゃったんだし、その謝罪だと思って出てくれるかな?

 いや、殴られたからこそ怒って出ないか・・・・・。



「え、えーい、出てくれなかったらそんときゃそん時だ。かけちゃえっ」



 そう思い、あたしは荘太君の電話帳を呼び出し、発信した。



プルルルル

プルルルル

プルルルル



 思い切って電話してみたけど。

 やっぱ、出てくれないかな。


 7コール目を数えた所で、コール音は留守電に切り替わった。



「今日はもういいや・・・・・」


 誰もいない部屋でそう呟き切ろうとしたら、『もしもし?』って声が聞こえた。



『ごめん、間違えて留守電にしちゃった』


「う、うん。別にいいよ」



 あははって笑う荘太君の声を聞きながら、あたしはそぅ応える。



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