リナリア


 散々奈菜と買い物をし、奈菜の勧めるまま、自分の欲求に従うまま買っていたら、あっと言う間に財布の中身は小銭だけになってしまった。




「な、奈菜さん、あたし、もう500円もないデス」


「あら、大丈夫よ。なんとかなるもんよ」




 切実に訴えたのに奈菜はそれをあっさりとかわし、「じゃあね。今日は付き合ってくれて、ありがとう」って、爽やかな笑顔を残しあっと言う間に見えなくなってしまった。


 奈菜はそう言ったけど、実際今日付き合ってくれたのは奈菜の方だったと思う。


 あたしに比べて荷物の少ない奈菜はあたしの分も持ってくれて、しかもアパートがそう遠くないって事もあって、あたしを送ってくれた。


 きっと、元気のなかったあたしを励ましてくれるために、今日誘ってくれたんだ。


 
 それに気付いたら無性に奈菜にお礼を言いたくて。


 あたしは鞄の中にあった携帯を手に、ベッドに寝そべった。


 携帯を開いてみたら新着メールが来ていて、受信ボックスを開くとそこにあった名前は、壮太君のものだった。


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