リナリア

「ほんっと、佐智って、無頓着なのね」



 奈菜は言い終わると今度はウェイターを呼び、ランチセットを注文していた。


 そしてあたしに向き直って煙草に火をつけ、「好きじゃなかったの?」と、聞いてきた。



「ん〜・・・・・」



 好きか嫌いかでくくれば、もちろん好きだった。

 だって、一緒にいると嬉しかったし、楽しかったし。

 でも、それが恋愛かどうかは正直、解らなかった。




「はい、ストップ。そんな考えなくていいから。すんなり出てこないって事は、やっぱ恋愛にはならなかったのね」




 奈菜はため息を付きながらあたしの思考を遮断し、そう言った。




「佐智はちょっと変わってるから、そーゆーのには疎いのよね。平津君も、もっと我慢してれば違う結果があったかもしれないのにね〜。勿体ない」


「いや、勿体ないって・・・。意味が分からんよ、お姉さん」

「分かると思ってないし」


 奈菜はぴしゃりとそう言い、丁度やって来たランチセットに手を付けた。


「今回で最後だと思ったんだけどな〜、あたし。平津君にはがっかりよ」

「なんで壮太君にがっかりなのさ。あたしが悪くてこうなったのに」



 わけの分からない事を言う奈菜に、反論する。


 だって。
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