リナリア
あたし、今まで壮太君と何処をデートしてたっけ?
壮太君がいなかったら諦めよう。
そう思ってたはずなのに。
やっぱり諦められなくて。
どうしても、会いたい。
そう、思ってしまう。
往生際が悪いけど、もう一度他の所へ行ってみようと180度向きを変えた時、何かに腕を取られ転びそうになる。
「わぁっ」
びっくりして声をあげ、「転ぶ!!!」そう思って目を瞑ったけど、あたしの体が地面とぶつかることはなかった。
その代わり、何か他の、がっしりとした物に背中から受け止められた。
何?
そう思ってると、「佐智」って、耳元で、聞き覚えのある声に名前を呼ばれる。