リナリア
「会いたかった」
そう言うとその人はあたしを自分の方に向き直させ、抱きしめてくる。
「・・・・・・・・・・壮太君」
あぁ。
よかった。
ここに、図書館に居てくれて。
その安心感が大きくて、ぎゅって抱きしめられてるのにあたしは自分の腕を壮太君に廻す事は出来なかった。
「ごめん、佐智。俺」
「あー、いいっす、何も言わなくて」
あたしは何か話そうとする壮太君の言葉を遮る様にそう言った。
だって。
まだ、もう少し一緒に居たいから。
だから、不安になるような事なんて聞きたくないし、ムシロ決定的な言葉なんて、欲しくない。
そう思って、言葉を続ける。
「あたし、別に都合の女扱いでいいっすよ。うん。それで、いいっす。だから・・・・・・・、だからね?あたし、それでもいいから壮太君の傍に、居たいよ・・・」
何か言われるのが怖い。
そう思って壮太君の事を遮ってそう言ったけど、どうやら壮太君はそれが不満だったらしい。
壮太君はあたしのおでこにデコピンをくらわせた。
地味に痛いから、やめて頂きたい・・・。
そんな事を思ってるあたしに壮太君は言葉を落とす。