リナリア

「奈菜さ〜ん」


 テーブルに突っ伏して奈菜を呼ぶと、相変わらずあたしなんか見ないで「なぁに?」って返事をする奈菜。

 それもいつもの事だから気にしないであたしは言葉を続ける。



「あたし、やっぱ終わりだと思うんすよ〜。好きになれないなんて、人として致命的じゃないっすか〜?」



 相談のつもりでそう言ったら、奈菜は「ぶはっ」って、飲みかけのアイスティーを噴き出して腹を抱えて笑った。


 失礼な女だ。




「さ、佐智、大丈夫よ、そんなん」



 大丈夫よ、とか言いながらも奈菜の笑いが止まる気配はない。



「自覚が無いのも、大変だわね〜」



 挙句、そんな事を言って更に腹を抱えた。
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